パソコンを使って音楽データを作る場合と、五線譜を使って作曲する場合を考える

 さてお次は一応俺の分野。DTMと五線譜を比べるとどうだろうという話。
 ……っていうか、どっちに於いても多分、誰にとっても共通項な道具がある。
 先の話の液晶タブレットを参照して、いくつかキーワードを絞り出してみる。

  • 本来の演奏と同等のインターフェイスを用意可能か? →ある程度。
  • 拡大・縮小
    • コンピューターは細かい演奏を拡大表示で作り込めるか? →yes
    • コンピューターは長大なフレーズを縮小表示で概観できるか? →yes
  • undo
    • コンピューターを使ったライブ演奏はミスを取り消せるか? →no
    • 作曲中の誤謬は取り消せるか? →yes
  • データを複製できるか? →yes

 いきなし絞って見た。経験やら語ると長くなるしね。
 とりあえず、上記の問題に解説を試みてみます。
 インターフェイス。要は「絵」に対して液晶タブレットがあったように、「演奏」に対する「ほぼ直感的なインターフェイス」があるかどうか。
 これはかなり高水準に「ある程度」と言える。
 そもそも音声表現にマイクロフォンがあるので、良いマイクと良い録音環境があれば、なんでも録音できる。
 しかしそれはデータとしては「録音データ」であり、作曲用のデータではない。
 そこでmidi規格というのが生まれた。一般認知の高い用語なので、ぐぐれボケ詳細は例によって省きます。
 midiはピアノ演奏をデータ表現する事を主目的にしたデータで、実際人間はピアノ演奏のそれぞれの打鍵ごとの127段階な表現をいちいち区別できやしないので、広く使われています。むしろ、だれかベロシティ1とベロシティ2の区別付くならオフで取材させてください。区別すべきはそこでなく、ダンパーペダルによる残響変化とか以下省略。
 で、midiはピアノ表現を中心フォーマットとして他の楽器をデータ化します。この仕組みの問題点としては、原理が違う楽器にどう対応しているのかという点。
 ギターを表現できるのか。
 これはMIDIギターというのが弦ごとにチャンネルを分ける事により実現されてます。
 チョーキング(弦引っぱり/押しによる音程変化)も、追加コントロール情報として取得できるようで。
 では、木管楽器はどうなのか。
 YAMAHAウィンドシンセが代表株でしょう。できちゃってます。
 それじゃ、カリンバとかどうよ。
 ……さすがにねえなあw 電子楽器の宿命ですが、そもそも楽器って種類大杉で汎用技術がないのよね。
 音声データが最も汎用的で、それ以上の汎用化のためには成分分析に基づく声紋データと音程情報・コントロール情報の分離を行ったり、それらの情報からの再合成を確立しないといけない。そんな技術が汎用的に可能なら、初音ミクなんか要らなくなります。

 で、「楽器のデータ化は可能」と言いましたが。
 ……一流のピアニストが安っぽい電子ピアノで録音したケースって、ぐぐる範囲では分からないです。三柴理氏がやってた記憶あるけど。
「『生ピアノを残響特性考えられた部屋で録音する事』vs『生ピアノをサンプリングしたピアノ音源を木製鍵盤デジタルピアノを介して鳴らし、コンサートホールの残響特性を畳み込み演算で加えたもの』」というのが、先の「リアル画材vsデジタル画材」の対比にちょうど良いでしょう。
 後者、本当に素人耳には分からんです。古くは演奏録音には観客のくしゃみが収録されてしまってたりとか、判断基準はあるんだけど。最近はノイズカットやらエラーへのレタッチも発達して、なんか怖いくらいです。

 データ化の段階で、ライブ感は失われているのかもしれません。
 ……ってこの辺、音声データなのか音楽データなのかでエントリ分けるべきだなあ。

 絵と音楽の違いとしては、音楽に於ける「ライブ演奏」に当たる『実演』が、絵に於いてはフォーカスされにくい点ですね。生で描いてみせる動画チュートリアルくらいかな? 路上の絵描きとか原宿の「橋」付近で書を即売してる人など、パフォーマンス一般ではいろいろ有るんだろうけど。

 んー、ここまで書いておきながら、絵と音楽の違いっていうよりは、音楽が音楽家及びその振る舞いにフォーカスしすぎてる点やらを先に問題視したくなるな。
 以下次号。次号じゃないかもしれないけど次号。