お、Shareでも逮捕者か。

 shareで検挙ってのは実に快挙だと思う。
 もうすこし早いとなお良かったんだけど。
 4月からの調査強化って話にはソースがなかったけど、時期的に考えるとなにかしら根拠があったのかもしれないな。関係者の牽制かな。

 winnyも逮捕者が出た際に、大きくユーザに牽制をかけたことだと思う。
(増加に歯止めをかけた、止まりかもしれないけど。でもノード数自体はピーク40万に比べて下がっている様子がうかがえる)

 これでshareの方も牽制に繋がるんじゃないかな。


 ちょっと引っかかるのが、逮捕者三人ともが「一次ソース」を提供した人物だという事だ。二次ソース/ダウンロードオンリーな人間も「見せしめ」なければ、既存ノードの抑制には効果が薄いように思う。——ユーザーに、「現状ではそこまでは追いかけられないのだろう」という安心感を与えてしまう。

 実際はそうでもない。Shareノードは追いかけられる状態で、完全キャッシュやハッシュ値を比較できる状態である。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070307_sharebot/
 法整備を待たなくてもアトランダムに選んだIPに対して、プロバイダ経由で警告は出せる。
想像でしかないけど、警告よりも効果的な「成果」を期待したんだろうか。
 一次ソースとなる「最初の流出に大掛かりに関わっている者」をまず吊るし上げる——まあ、価値ある晒し上げだとは思う。ダウンロードオンリーな人間を片っ端事情聴取できるほど暇でもないだろうし、監獄も余っていない。

 仮にノード数と同じ人数が違法ダウンローダだとして、全員逮捕できたとしよう。
20万人以上という単位の人口に社会的制裁を加えると、日本の社会活動にどんくらいの影響力があるのだろう。
 やはりアトランダムに「見せしめ」を引っ張って、「逮捕しちゃうぞ♪ ていうかできちゃうぞ♪ だからもうやめてね♪」というメッセージを敷衍していく必要がある。

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 問題は、「本当に匿名性を保てない状態なのか」という点だろう。shareノードを追いかけたところで……それ以外のところで色々誤摩化す手段は「技術的には」ある。それは複雑な開発と検証を要するものなんだけどね。例は後述。
 もし今、share(ないし今後出るかもしれない後発)側の改善策が整ったら、その改善策を超える形で、新しい「見せしめ」を出すより他はない。それにはまた時間がかかるだろう——「winnyユーザの初逮捕者が出てから、shareが出て、shareの初逮捕者が出るまで」の間と、同じ程度の時間が。

 一つ脅威になりそうな例としては、Tor型の不特定多数プロクシー交換サービスの普及だろう。違法P2P利用において、アクセスの度に国外IPアドレスを転々としてパケットを数珠つなぎにされたら、「罠を仕掛けて引っかかる事を待つ」または「P2P利用者がほかでボロを出すのを待つ」しか手が打てない状態になる。法整備次第だが、個人的には日本政府にその辺をスマートに解決する法整備を願うのは難しそうに感じる。また自民や公明あたりが、技術屋からすれば「ちょw まてお前馬鹿かw」と言いたくなるような「問題点」をいくつも無視して世迷い言を繰り返し、最終的に俺の仕事が増え(r

 現状でTorは完全な匿名性を保証できない状態にあるが、心配なのはshare後継がスマートなプロクシーモデルを「Torを参考に」作り上げてしまうのではないかという点。
 ……オープンソースなのよ、Tor。
:しかもこのソースがまたいろいろ興味深くて、仮想環境セットで色々実験したりとハマれまs(ry

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 2ch見てると、逮捕者が出た事でいろんな議論が出ている。
 そこで語られてる内容は「share使いながらも逮捕されない方法はなんだろう」ばかりである。ひろゆき氏が2ch絡みの裁判逃げ続けている状況が、改めて面白く、じゃない、社会的にどうなんだろうなと思う。
 こいつらのIPをプロバイダに問い合わせたら一網打尽だろうっていうw
 無論、そうしない理由も想像はつく。——当然、警察関係者もこの板を見ていない訳がなかろう、と。これはあれですね、スパイ物に多い「尻尾を捕まえるために泳がせておく」って奴ですね。多分そんなところだろう。

 P2Pアングラの第一ソースが2chのダウンロード板しかないっていう人間は、もう逮捕される覚悟の上でしか違法ファイル共有をするしかない事だろう。

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 shareはwinnyユーザにとっての「隠れ蓑」だった。
主な利点は二つ。
winnyよりも匿名性が高い、と考えられている事。
 実際に、実装の面でも興味深い差異は確認できる。
 また、winnyと違ってソースコードはクローズドであり警察の手に渡っていないという点も安心感に繋がってるかもしれない。
・逮捕者がこれまで存在しなかった。

 今回、後者の利点がなくなった。

 P2P悪用の歴史としては、
WinMXで逮捕者が出たからWinnyに移りました、こんどはwinnyでも逮捕者が出ました、そしたらShareってのが出て来たのでそちらに移りました」
 という、実に馬鹿丸出しな流れに過ぎない。

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 俺の知る限り、表面上「逮捕出来ないP2Pアプリケーション・コミュニティ」ってのはなくなったように見える。

 このいたちごっこ、もう当面は続きそうだな。

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 別の側面から苦言を呈そう。
 相手は著作権保持側や配給業者、及びその利権者全体である。

 違法共有を尻目に、iTunes Storeという形で巨額の販売実績を成し遂げたAppleの「良い側面」くらいは見直せるだろう。
 mp3がグヌテラ系ネットワークで違法共有されはじめたのはダイヤルアップ時代にまで遡る。当時を知っていれば、その当時から「もう落とせる曲まで買うのなんてやだよーへへーん」ていう人間が溢れてたりするのはご存知の通り。しかし、今だと「携帯で音楽購入」が珍しくなく、PC上でもiTunes Music Store(現iTunes Store)登場以降のその「売れ行き」は凄まじい。一旦このスタイルが定着したあとでは、後発であるSonyレーベルゲート)のmoraの売れ行きも、安心できるほどの利益は確保できていないというが、「ビジネスとして成り立たせるのが難しい」と言われていた時代は覆している。この辺は、世界的な「一番」をAppleに取られた故の苦戦だろう。

 どうやらP2Pで違法共有されてるものの代表株はエロのようだ。もちろんエロゲーも含む。ちょっと驚いたのが書籍類の多さ。ついで映画のヒット数。全体を考えるに、書籍は電子書籍として「いつでも買える」状態を提案できればカバーできるだろう。再販制度とかそういう駄目なところで燻ってる暇で、英断を敢行出来る「英雄」が必要だ。
 電子書籍界隈って、Shapeみたいな老舗がいるのに未だに根付いていない。おかしいだろう。CDよりも本の方が場所取るし、検索性を考えると手持ちの本全てをライブラリ化したくなるもんなんだよ、フツーに考えて。単価考えても高価値提供できるはずだろう。ポータビリティーも提案できるだろう。なのに普及しない。
 電子書籍の問題点として、電子ペーパーじゃないと目が疲れる/しかし電子ペーパーは書き換えが遅い/液晶でも電子ペーパーにしても、小型端末化するほど識字数が減る、といういろんな課題を抱えてたりはする。
 まあ、流れが止まる事はないと思う。
 電子ペーパーの実証実験はすでに「広告業界」によって、良い感じに「実証実験」されてるのだ。
 http://www.gizmodo.jp/2008/02/post_3207.html
 恵比寿駅以外にも増えていきそうな気配。この辺から需要と技術が進んでいけば、端末の方の技術基盤は期待出来る。
 実態はベンチャーがいじましい戦いを続けては、ユーザ数の分散に喘いでいるというのが現状。フォーマットが統一できていないという問題がある。——iPodみたいに、先に「電子書籍プレイヤーの代名詞!」くらいに知られる「何か」が出て来ないと無理なんだろうか?

 後者の映画は単価と難しい。Appleが率先してるけどApple TVの失敗がちょいと痛いね。ジョブズも苦戦している様子だ。流れとしてはyoutubeニコニコ動画が具体的な「有料モデル」を提案し、そいつを獲得したときに時代の変遷を期待できそう。

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 パケットは皆が納得出来る形で、1bitでも少ない方がいい。
 人口も一緒だ。幸せを損ねない限り、一人でも少ない方がいい。
 スラド記事によれば世界推定人口が66億6666万6666人を越したそうだ。増加率がいくら減っても安心出来ない規模である。——先進国としての(orと呼ばれている事の)名誉を賭けて、少子化問題の解決方向をシフトしろよと。外国人受け入れ云々とか見せかけの数字保ってどうすんのと。理想的には子供減りながらも国力維持。国際的価値を見出せる技術や文化を維持。「減りっぱなしじゃこうこう絶望的な数字が割り出されましたので、バランス取る策を考えます」とかなら納得するけど、結局「減ったら金蔓がぁぁぁぁ」って叫んでるだけだしね。
 同じ事が違法P2Pにも言えるわけだ。

潜在的顧客が違法ダウンロードしているぅぅぅぅぅ」って叫ぶ前に、「やっべ、なんか俺にはビジネスチャンスに見えるんですけど」くらいの視点がコンテンツ業者側で育ってほしいな。
 政府と警察は違法者を追い込み続ける。「違法P2Pやっちゃった人ー、格安で正規コンテンツ売るよー。でもiPod縛りねー」みたいな感じ。ちょっと戯画化しすぎだけど。

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 落ちが思いつかないので、今日の締めは「京都府県警乙」に変えさせて頂きます。