バッドノウハウ、グッドラッパー、それに続くアーティストツールという道具立ての軸がある

そろそろ語弊が大きくなりすぎた。グッドラッパーに対比されるこれらの「バッドノウハウ気味な、汎用性の高い道具立てのアプローチ」を、ここでは欺瞞と皮肉を混めて「アーティストツール」と呼称してみる事にする。
アーティストツールとは、そもそも一意かつ明確な目的がない場合にも選択される道具立てだ。
「何かを描きたい。紙と絵具と筆をくれ。あとヘンな事するからライターも」
……ライターを用意できるかどうかはともかく、例えばPainterにはよく判らないブラシがたくさん入っている。Painterのブラシエンジンは全てのペンで統一されていて、大量の設定項目を統一的にカスタマイズできてしまう。そして、プリセットとしての標準ブラシ、及び「ブラシクリエータ」というグッドラッパーを用意している。魅力的なアプローチである。しかし、単に「漫画を描きたい」という目的があり、用意すべきツール群が一意に定まっている場合、このPainterの「アーティストツール」としての特性はなかなかフル活用されない。かわりにコミックスタジオ——漫画製作の為のワークフローを徹底的に補佐する志向性のツールがそういう現場で生きる訳だ。

VAシンセサイザーのパラメーター量も似たようなものだ。想像力を妨げない範囲の変調が可能で、かつ明確なイメージがあればプリセットから設定をロードできる——

現在のBlenderは、やたら汎用性がある変わりにプリセットの提供という努力が『デフォルトでは※』足りないのだろう。
(※この辺は、ユーザーサイドで「マテリアルサンプル集」や「フリーリグデーター」などの形での提供が活発だ。Blenderを入手した初心者は、「プリセット」としてそういうデータを掻き集めるところから初めるのも効果的かもしれない)
材質設定やテクスチャスロットに、典型的な例があらかじめ入っている状態が望ましいだろう。