「使い易さ」と「判り易さ」は相関するのだろうか

改めて「バッドノウハウと奥が深い症候群」を再読して、まず「バッドノウハウ」の端的なまとめとして、「本来は知りたくもないノウハウ」という表現に着目してみる。
3Dソフトにとって、知りたいノウハウと知りたくもないノウハウを分類することに意味がありそうだ。
知りたいノウハウを考えると

  • 「思った通りの形状を得る方法」
  • 「思った通りの色に設定する方法」
  • 「思った通りのライティングを設定する方法」
  • etc,etc...

とかだろう。一言でまとめると、最終的に得たいアウトプットを得る方法だ。
そしてそれは汎用的であり、かつ直接的な実装であることが最も望ましい。
Blenderで知られているバッドノウハウにあたる内容を考えると、多分この辺。

  • 「面積のあるライティングの実現方法」→ライトのリンクコピーを設置→エリアライトが実装され、一発設定できるようになったので不要に
  • 「GIっぽい絵を得たい」→球状にライトを頂点複製(dupliverts)するという手法→AO登場で不要に
  • 「パーティクルによる髪型を自在に操りたい」→カーブ・ガイドによる植毛で頑張る→ヘアー修正機能が実装されたので、2.46以降では髪の表現としては不要になるだろう
  • 「あるオブジェクトの境界に、アニメ調の境界線を引きたい」→モデルの複製をとり、ちょっと大きくして黒くしてモデルを反転すると、裏面が表示されないことからそういう効果に→GLSLやnodeの工夫で直接表現できるように(※まだ工夫と知識が要る)

どれも直接的ではなかったり、直感的ではないアプローチに対する迂回路だった。可能だけど手間や工夫が必要で、それは思った作業以外についてのノウハウが必要な物である。
Blenderの機能改善は、時には直感的ではないアプローチであっても、使い易くて汎用性がある方向に進化しようとし続けて、その成果を見せつけている。髪の表現はあくまでパーティクル・システムの機能として実装され、特別なオブジェクトや専用のUIには頼らない。
慣れると使い易い、ここが問題だ。俺が冒頭で批判を受けた真相にぐっと踏み込んだ。